フィンランドの高校へ授業見学!授業中に廊下へ行きなさい!?-Part1-
どうもどうも、
イッチーです。
今回の記事は
【フィンランドの高校の授業見学に行って-Part1-】です。
シリーズ化して分けたがるのは、僕の性なのでしょうか。。。(笑)
実際、見学したのは2日間だったので午前・午後の計4つに分けて時系列に書いていこうかと思います。なんともまあ、書くと長くなるので・・・
では、まず1日目のスケジュールから。
Ⅰ. 8:15-9:30 体育 (GYM)
Ⅱ. 9:40-11:00 英語
昼食
Ⅲ. 11:40-12:55 体育 (Gymnastics)
Ⅳ. 13:10-14:25 体育 (Dance)
体育が3つに英語が1つの時間割で構成していただきました。
この他にも、数学やスウェーデン語の授業も見学できたのですが、スポーツと一番関連の強い「体育」と自分が純粋に興味のある「英語」の見学をしました。
まず、1時間目の体育。
授業の教室に行くなり、驚きが溢れ出しました。
トレーニングの授業!!
トレーニング器具の使い方を学んだり、自重トレーニングを各自で行っていました。生徒にはプリントが配られ、そこにはトレーニング方法と使われる筋群の説明が書かれていました。
ーこんなこと、高校でやってない。。。。ー
既に1つ、日本との違いを見つけました。
もちろん、器具の数には限りがあり、全員同じトレーニングはできません。各々がプリントを見て、自由にトレーニングをしています。
評価の方法はどうするのだろう。
そう不思議に思って訪ねてみると、
「生徒には自己評価してもらってそれが成績のベースになるんだよ。」
な!ん!と!
後の器械体操やダンスの授業でも聞いて分かったのですが、基本的には生徒の自己評価によって体育の成績は決まるらしいです。
僕が受けた高校の器械体操の授業は、
「技の難易度に比例して点数が決まっており、試験日にいくつできるかをみんなの前で先生が評価する」というものでした。
バスケット―ボールでは、ドリブルからシュートまでの一連の動作をテストしたり試合での貢献度や授業態度を先生たちが評価して成績がつけられていました。
もちろん、日本の高校の授業の中でも自己評価を提出する部分もありました。バレーボールで言えばアンダーパスとオーバーハンドパスの連続記録を記入してそれを感想と共に提出、といったような感じです。けれど、それは純粋にパスの回数を全員分数えるのは非効率的で時間がかかるものだったからだと思います。
評価の観点や授業の捉え方が異なります。
生徒本人の目で見ているか、先生からの眼で見るか。
大事な視点の差異です。
勿論、この高校でも先生からの視点も入っています。
1時間目の授業後に、5人ほど先生に呼び止められて話をしていました。フィンランド語は分からずとも、何だか嫌な雰囲気。先生は背中しか見えませんが、生徒たちの顔はそろいもそろってふてくされた顔。
僕からの先程の質問に答えたあと、僕がそれをみていたことに気づいてこう付け加えて説明してくれました。
「生徒主体で私たちはサポートする立場ではあるけど、限度はあるから。今回みたいに、自主的にやろうとしない生徒は今みたいに話し合うの。」
あくまでも生徒主体で先生はサポートする立場、嫌なら強制はしないが単位はあげられないよ、そういう風に教え諭したそうです。
2時間目の英語の授業。今回の授業を担当している先生が、僕をこの高校へ呼んでくださった方です。
会って第一声、
「寒かったでしょ~。どうだった体育?あなたの国と違う??」
って、優しい笑顔で話しかけてきてくれました。
なので僕も負けじと、
ーいや、外は寒かったですよ。マイナス18度でしたからね。けど、中は全然ですよ(笑)
あとあと、
体育は全然違って面白かったです~!!
授業の動かし方とかも全然違いますね!ー
と、思いながら
海外の高校に初めて来てるんだ!という勝手な緊張感でジョークなぞ言えるはずもなく
「Joo.(フィンランド語の「うん」。)」
とだけ、答えちゃいました。(笑)
いやいやいや、
会話のかみ合い方!!全然噛み合ってない。
歯だったら、何も食べれないくらい噛み合わせ悪いわ!
ってのは、置いといて。
そのあとに、ちゃんと時間かけて答えました。
そのあとの英語の授業では。。。違うことがほんとにたくさんありました。
その➀
『自分たちの机が無い』
生徒たちは廊下の前にいて、先生のことを待ちます。教室の扉には鍵がかかっており、先生しか開けることができません。なので、先生が鍵を開けてそのあとに、生徒たちは教室にちゃくせーき。
を、授業の分だけ繰り返します。
「クラス」という概念と「自分の机」という概念がありませんでした。
その②
『白い机がある』
奥の白く他よりも少し高い机が1つだけあるのは見えるでしょうか。
あの机は「E-book」を利用する生徒用です。パソコンやタブレットで教科書を見る場合、あの席で授業を受けます。生徒には、「紙媒体」か「電子媒体」の教科書を選ぶ権利があります。多くの生徒は紙媒体の教科書ですが、たまに電子媒体を利用する人もいます。実際、この授業でも1人いました。その生徒はインターネットをそこでつなぎ授業を受けていました。ここもまた、違いの1つだと思います。ちなみに、先生は紙媒体を推していました。
その③
『パワーポイントと教科書並行活用の授業』
今回の授業はフィンランドの政治について。この前、フィンランドの大統領選挙がありましたがその点相まってか、このトピックでした。と、思っていたのですが、先生が決めたわけではなく、教科書の内容に沿って進めていただけでタイミングが良かっただけです(笑)。
面白かったのは、授業の教科書に書いていない部分や配布されたプリントはパワーポイント、それ以外は教科書を使うという手法をとっていたことです。個人的な感想ですが、黒板に書いて一緒に進めていくよりも、確実にスピード感はあがります。先生の立場からみても、準備も簡単ですし、余計な労力がかからなくなるのではないかと思います。生徒の立場からも、手の側面黒くなるわ!と思う程の黒板の内容を書くという行為はしなくて済むので、その分の集中力や労力は別のところへ注げます。高校生という点からも「すべてを書いて教える」というアウトプット型の学習方法よりも、興味・関心を授業のポイントから外さずに生徒たちから考えを生み出す熟考型の学習法にしやすいので、より深く勉強できるのかもしれません。
ただパワーポイントを用いることで授業の進度が早くなるので、生徒単位でレベルが異なる場合は、注意が必要になってくるなと思いました。
その➃
『教室を抜け出して動きまわる』
今回、一番驚いた点です。ミニテストが近いということで、生徒たちは英語の単語をいくつか覚えなければいけません。最初に先生が単語を暗記するように指示した後、数分後に
「それじゃあ、廊下に出て歩き回ってきて。終わったら前のボードに自分が覚えた単語を書いてください。」
そう指示を受けると、生徒たちは自分で単語を覚え、少ししてから全員教室の外に出ていきます。
教室内はすっからかん(笑)
先生と僕二人だけの状況(笑)
そして、生徒たちは教室に帰ってきて徐にボードに書き始めます。
書き終わったら、みんなで答え合わせして終わり。
こんな感じです。更に単語の暗記はそれだけで終わらず、覚えた単語やテストに出る単語を用いて、クロスワードをペアで作っていました。
この学習スタイル、今年から始まった新しい取り組みだそうです。
【Liikkuva koulu】
訳すと【動く学校】。(笑)
先生曰く
「動きながら授業内容を覚える方法で、教室を出たりその場で立ってもらったりして動きをつけて学習してもらう」
ことを狙いとしているそうです。
高校の授業は75分。ずっと座りっぱなしも集中力を欠いてしまいます。その点からも考慮して、この取り組みを取り入れているそうです。
先生によってはまだ取り入れていない方もいるので、必須とまではいってないみたいです。
けれど、この取り組みは確かに脳科学的にも推奨されるべき取り組みだと思います。脳で記憶を行う際、大脳辺縁系という脳の1部分が活動して更に海馬と呼ばれる部分で情報が整理されて、記憶が保持されます。そこに運動を加えることで、運動前野と呼ばれる脳の領域だけでなく、視覚や空間認識を無意識に用いることで運動連合野だけでなく、他の連合野も働く効果があります。「単語」や「ある情報」をそれのみで保持するだけでなく、その当時の感覚や記憶と一緒に保持することで符号化がされやすく、検索(思い出すこと)も容易になります。
スポーツや運動は上手く用いることが他の授業でもプラスに働くということの1つの証でもあるかなと思います。個人的には、もっとこういう「スポーツ(運動)×OO」のメリットを発信して受容できるニーズを生み出していきたいです。
ともあれ、度肝を抜かれた、面白いなと思った取り組みでした。
その➄
『生徒主体』
英語の授業を通して思ったことです。基本的には先生は節目節目でやることを提示するのみで、そのほかは生徒が自分たちで活動することが多かったです。暗記するのも、その単語を使ってクロスワードを作るのも、そのあとの政治の勉強の時も、、、。
隣又は周囲の人と問題を解きあったり、自分で問題を解いたり。そういう時間がほとんどでした。面白かったのは、今回の授業で発言する生徒がゼロだったという事。これはメリット・デメリットはありますが、日本とは違う点だなとは思います。別に生徒全員の前で恥をかいたりする必要もなく、勉強は本来自分と向き合うものだから、これでもいいのかなと思ったりもします。
先生は
「あくまで私たちはサポート。生徒たちに情報や適切だと思う方法は提供するけれど、そのあとは生徒次第。みんなここを選んできているのだから。させようとか、こうしてほしいとかは思ってない。」
と、おっしゃっていました。
正直、日本でこの思考でやっていたら、モンスターペアレントにボコボコだろうなと思います。
「高校でどういう教育しているんですか!」
「うちの子は頑張っているのになんでこの点数なんですか!」
ーいやいや、じぶんのお子さんが教育直に受けているのだからまず聞いてからこんかいー
っていう声は押し殺して、、、。
フィンランドでもたまにそういう親はいるそうです。
そういう時、その先生はどういう評価をしているかを見せるそうです。
・課題は出しているか。
・授業中の指示を聞いているか。
・復習をしっかりしていれば満点を取りやすいミニテストの成績はどれくらいか。
等、多岐にわたるそうです。それを「こちらはこういう方法でちゃんと評価している」とみせることで、そういう問題を解決しているそうです。
テストや課題も、負担が少なくなるように、
テストは前もって伝え、課題も莫大な量は出さずできる範囲の課題を。
そうやって考慮して、他の授業や全体を踏まえた学習をしてもらおうと考えているそうです。
生徒が主体的に学べるように、先生は「サポート」をする立場で支えていく。
体育の先生も同じ考えでした。
この「サポート」ができるのもクラス単位の人数が少ないからということも一因としてあります。どちらのクラスも生徒の数は約20でした。
1人1人に主体的に学んでもらう
先生は支える立場で
そんな教育方法が見られた午前中でした。
いかがだったでしょうか。
僕の言葉だけでは伝えきれないのが残念ですが、日本の高校との違いは大いにあると思いました。
逆に日本の高校の良さもみつかりました。
次回はそこも踏まえて、書けていけたらなと思います。
では、乞うご期待!
それでは!
Moi moi!
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